確定申告をすると、税金が返ってくる?
確定申告をすると、税金が返ってくる?
今年も確定申告の時期がやってきましたね。
「確定申告」と耳にすると、どんなイメージを持たれるでしょうか?
個人事業主やフリーランスが「納税」のためにするイメージを持たれる方が多いかもしれません。
実は、会社員も、確定申告で納めすぎた税金が戻ってくる「還付」を受けられる場合もあります。また最近は、副業をされている方も多くいらっしゃいます。副業も確定申告が必要です。
そこで今回は、会社員やフリーランス、副業、年金所得者に関わる「確定申告」について詳しく解説していきます。
物価高や円安が続き、家計における生活費も徐々に上がりつつあると思います。きちんと確定申告を行うことも、家計の無駄な支出を抑えることにつながります。
当社は、保険会社・証券会社・不動産会社などに所属しない「真」のFP(ファイナンシャルプランナー)として、法人・個人問わず、資産運用・保険・不動産・相続・税金・社会保障・インフラなどの各種ご相談をお受けしています。確定申告はもちろんのこと、お金周りのご不明な点やご相談がありましたら、お気軽に当社FPへご相談ください。
この記事の目次
1、確定申告って何?
2、会社員(給与所得者)の確定申告
◉納税する場合
①2つ以上の会社から給与を受け取っている
②副業などで給与所得以外の所得が20万円を超える
③給与収入が2,000万円を超える
◉税金が戻る(還付される)場合
①医療費控除
②寄付金控除(ふるさと納税など)
③雑損控除
④住宅ローン控除
3、個人事業主やフリーランスの確定申告
◉納税する場合
①所得金額が48万円を超える
◉税金が戻る(還付される)場合
①源泉徴収されている
②青色申告特別控除や損失の繰越控除を受ける
③特定の控除を受ける
4、年金所得者の確定申告
◉納税する場合
①公的年金等の収入金額が400万円を超える
②年金以外の所得が20万円を超える
◉税金が戻る(還付される)場合
①特定の控除を受ける
5、きちんと確定申告をして、納税しなければどうなる?
6、まとめ
1、確定申告って何?
確定申告とは、1年間の所得と税額、または損失の金額を計算して、必要な税金を納める手続きです。申告期間は、原則として毎年2月16日から3月15日まで(還付申告の場合は1月1日から可能)です。
ただし、休日の場合は翌営業日となるため、令和6年度分は2月17日(月)から3月17日(月)が申告期間です。
2、会社員(給与所得者)の確定申告
会社員であれば、基本的に年末調整によって税金が精算されますが、
以下のような方は確定申告が必要です。
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
◉納税する場合
①2つ以上の会社から給与を受け取っている
給与を複数の会社から受け取っている場合は、給与所得控除などが重複して適用されている可能性があります。
総合的な収入と控除額をもとに、正確な税額を計算するために確定申告が必要です。
②副業などで給与所得以外の所得が20万円を超える
副業の所得が年間20万円以上の場合は、確定申告を行い所得に対する税金を納める必要があります。
・所得とは
副業の総収入額から必要経費を差し引いた額が所得となります。詳しくは、以前にこちらの記事で解説しておりますので、ご覧ください。
・20万円未満の場合
基本的には申告は不要ですが、医療費控除や寄附金控除を受けたい場合などは、確定申告が必要です。
(「控除」については、後ほど「税金が戻る(還付を受ける場合)」にて解説しております)
③給与収入が2,000万円を超える
給与が2,000万円を超えると、会社の年末調整の対象外になるため、自分で税額を計算して申告する必要があります。
◉税金が戻る(還付を受ける)場合
①医療費控除
年間に支払った医療費が、一定額を超える場合に、所得税の控除を受けられます。
出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
・対象となる医療費
病院や診療所での治療費や、薬局で購入した薬代、病院への通院にかかる交通費など。本人や配偶者、子どもなど家族が支払った医療費も控除の対象となります。
ただし、美容整形手術や健康診断、予防接種など、病気の治療以外の費用は対象になりません。
・控除額の計算
年間で支払った総医療費が10万円(または所得の5%の少ない方)を超える場合、その超過分が控除の対象となります。ただし、医療保険などの給付金を受け取っている場合は、その金額を差し引きます。
また、総医療費が10万円未満であれば、医療費控除を受けることはできません。
②寄付金控除(ふるさと納税など)
ふるさと納税などで寄付を行なった場合に、税金の控除を受けられます。ふるさと納税は、寄付した金額のうち2,000円を超える部分が控除対象で、住民税や所得税が軽減されます。
・確定申告が必要な場合
ふるさと納税の寄付先が5自治体を超えるとき。また、副業やフリーランスなどで給与所得以外の収入がある場合や他の控除を受けたい場合。
・ワンストップ特例制度
ふるさと納税では、寄付先が5自治体までであれば、条件を満たせば確定申告が不要になります。
③雑損控除
雑損控除とは、災害や盗難などによって発生した損失に対し、所得税の控除を受けられる制度です。損害額が1万円以上で、損害をうけた財産について保険金が支払われていない額に対して控除が行われます。
出典:国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
・対象となる損失
1)地震、津波、台風、暴風雨などの自然災害で、自宅や家財、車両などが被害を受けた場合。2)泥棒による盗難で、現金や物品などの財産が失われた場合。3)火災で家屋や家財が損害を受けた場合。4)その他の自然災害以外で損害を受けた場合。
④住宅ローン控除
住宅ローンを利用して自宅を購入した場合に、ローンの年末残高に応じて一定額を所得税から控除される制度です。
・確定申告が必要な場合
初年度は、確定申告を行う必要があります。会社員であれば2年目以降は年末調整での対応となります。ただし、個人事業主やフリーランスの方、各種控除適用などで確定申告を行う場合は、2年目以降も確定申告が必要です。
・住宅ローン控除の適用条件
住宅ローンを金融機関から借り入れ、自宅を購入または新築した場合。返済期間が10年以上、原則として年収3,000万円以下、住宅の床面積が原則として50㎡以上であるなど。
(※令和4年以降の改正により控除率や対象条件に変更があります)
・控除額の計算
控除額は、基本的に住宅ローンの年末残高の1%です。ただし、年間控除額は最大で40万円、控除期間は最大で10年間が上限となります。
(※令和4年以降の改正により控除率や対象条件に変更があります)
3、個人事業主やフリーランスの確定申告
個人事業主やフリーランスとして収入がある場合は、会社員のように税金が給与天引きされないので、自ら所得税を計算し確定申告を行う必要があります。
◉納税する場合
①所得金額が48万円を超える
事業所得や不動産所得があり、所得金額が48万円(基礎控除)を超える場合は確定申告を行い所得税と住民税を納税する必要があります。
◉税金が戻る(還付を受ける)場合
①源泉徴収されている
個人事業主やフリーランスが取引先から支払われる報酬には、所得税が源泉徴収されていることがあります。取引先から源泉徴収された所得税額が、確定申告で経費を計上して再計算することで差額分が還付されます。
②青色申告特別控除や損失の繰越控除を受ける
・青色申告特別控除:青色申告を適用することで最大65万円の特別控除を受けられ、税額が減少し還付につながる場合もあります。
・損失の繰越控除:事業で赤字が発生した場合に、その赤字を次年度に繰り越して利益と相殺する損失繰越を行うことで、将来の所得税負担を軽減し、還付を受ける場合もあります。
③特定の控除を受ける
『2、会社員(給与所得者)の確定申告』に記載した内容と同じく、個人事業主やフリーランスも、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税など)、雑損控除、住宅ローン控除の適用を受けることで税金の還付を受けることができます。
4、年金所得者の確定申告
年金所得者の場合は、「年金所得者の確定申告不要制度」があり、公的年金等の収入金額が400万円以下で、それ以外の所得金額が20万円以下の場合は確定申告が不要となります。ただし、以下のような方は確定申告が必要です。
◉納税する場合
①公的年金等の収入金額が400万円を超える
年金は所得税が源泉徴収されていますが、公的年金等控除や基礎控除、配偶者控除等が適切に適用されているかを確認し、差額を精算するために確定申告を行います。
②公的年金等以外の所得が20万円を超える
年金以外に給与所得や不動産所得、配当所得、事業所得などがあり、それら合計額が20万円を超える場合にも、課税所得が増えるため確定申告が必要です。
◉税金が戻る(還付を受ける)場合
①特定の控除を受ける
『2、会社員(給与所得者)の確定申告』に記載した内容と同じく、年金所得者も、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税など)、雑損控除、住宅ローン控除の適用を受けることで税金の還付を受けることができます。
その他、配偶者控除や扶養控除などの適用もあります。所得税等の確定申告が必要ない場合でも、課税所得が減ることで住民税が減額になる場合もあります。
5、きちんと確定申告をして、納税しなければどうなる?
納税義務があるにもかかわらず、所得税を期限内に納付しない場合、いくつかの法的措置が取られることがあります。
①延滞税がかかる
納税期限を過ぎてから税金を支払うと、延滞税が課されることになります。
延滞税は、納税額に対して一定の割合で計算され、日数が長くなるほど割合が増えます。国税庁の定める利率に基づくため、毎年の延滞税率は変動します。
②追徴課税(無申告加算税)がかかる
確定申告をしなかった場合や、申告した内容が虚偽であった場合は、無申告加算税がかかることがあります。
③財務調査を受ける
納税をしない場合、税務署から税務調査を受けることになり、収入や支出の実態を調べられ、過少申告加算税や重加算税が課せられることがあります。
その他にも、納税しないと最終的には差し押さえや刑事罰を受ける可能性もありますので、きちんと確定申告をして納税義務を果たす必要があります。
6、まとめ
今回は、「確定申告」について解説しました。
きちんと確定申告を行い納税することは、法律に基づいた義務であり、期限内に確定申告を行うことが大切です。確定申告は、税金を納める「納税」だけではなく、正しい税金で再計算され税金が戻ってくる「還付」を受けられる場合もあります。
物価高騰や円高の影響で、家計のご心配をされている方も多くいらっしゃいます。
当社には、FP(ファイナンシャルプランナー)技能士が多数在籍しています。お金に関するプロである当社FPは、銀行・証券・保険などの金融業界をテーマとした資産形成やお金の増やし方に特化したマネーセミナーなども開催しています。
確定申告のご相談はもちろんのこと、無駄な支出を抑え、将来のための資産運用や投資などのご相談もお受けしております。資産運用については、以前にこちらの記事で紹介しておりますので、ぜひ、ご覧ください。
家計の見直し、家計診断など、お金に関するご相談、資産形成に不安を感じている方は、ぜひお気軽に当社FPへご相談ください。