お米が消えた!? 令和のコメ騒動とは?
お米が消えた!? 令和のコメ騒動とは?
お米が消えた!? 令和のコメ騒動とは?
テレビや新聞で、「古古古古米」放出の話題を目にします。
2024年の夏頃から、毎日食べるお米の価格高騰が続いたり、手に入らなくなったりと「令和のコメ騒動」が発生し、日本国民が困っています。
2025年4月のお米の平均価格は、5kgあたり約4,200円でした。これは2023年の同時期と比較すると約2倍の価格となっています。
今回は、「なぜ、令和のコメ騒動が発生したのか」「現在の日本で何が起こっているのか」を詳しく解説していきます。日本人には欠かせないお米が発端の事象について知ることで、社会全体の課題を把握してみましょう。
この記事の目次
1、令和のコメ騒動とは
2、江藤米と小泉米の違い
3、コメ以外の物価高騰
4、まとめ
1、令和のコメ騒動とは
「令和のコメ騒動」とは、2024年夏頃から話題になり始めた「お米」の価格高騰や品薄状態、およびそれらに伴う社会現象のことを言います。
・経緯
2024年の夏頃:小売店でお米が品薄となり、価格が急騰し始める。
2024年8月頃:気象庁から、南海トラフ地震の臨時情報「巨大地震注意」が初めて発表されたことで、消費者が家庭備蓄のためにお米を買い占まはじめました。SNS等による情報が拡散されたことにより、消費者の不安心理が強まったことも社会現象として拡大した要因とされています。
2025年現在 :依然として、お米の価格の高騰や品薄状態が改善されず、政府や農林水産省が対応に追われています。
・要因
◎需給バランスの問題
需要と供給の見通しの誤りや減反政策(※)によって、凶作ではないにもかかわらず、予想される需要ギリギリの生産しかしていなかったために供給が需要に追いつかなかったとされています。
※減反政策とは・・・日本の農業政策の一つで、お米の生産量を政府が調整するために1970年から導入された制度のこと。お米の過剰生産による価格下落を防ぐことを目的として、農家に麦や大豆などのお米以外の作物を栽培するよう促しました。ただし、2018年に減反政策が廃止され、それ以降は農家が自らの判断でお米を生産できるようになっています。
◎流通構造の問題
一方で、2024年8月当初、農水省はコメ不足を認めず、大阪府知事からの備蓄米放出の要請を拒否しました。さらに、「コメの品薄の要因は、卸売業者が在庫を放出しないから」として、コメ不足は、在庫滞留や流通の目詰まりなどを発生させている卸売業者の責任だと説明していました。しかし、JA農協や大手卸売業者の民間在庫は、前年から比較すると40万トンも減少していることが判明したのです。生産量が増えても民間在庫は大きく減少しており、需要と供給のバランスが崩れているのが実態だと言われています。
2、江藤米と小泉米の違い
2025年5月、小泉進次郎氏が農林水産大臣に就任されました。「コメ担当大臣」として流通改革を宣言し、お米の流通スピードが早まり短期間で大量の備蓄米が安く販売されるようになりました。それまでの農林水産大臣は、「コメを買ったことがない」などの失言が問題視された江藤拓氏でした。ここでは、両大臣の政策や対応の違いを確認してみましょう。
◎江藤米(江藤拓前大臣時代の備蓄米)
基本姿勢
・JA農協や農家を支援し、減反政策などの既存システムを維持することを重視していました。その背景に、「農政トライアングル」と呼ばれる癒着構造があるのでは、と言われています。JA農協が多数の農民票を取りまとめて農林族議員を当選させ、農林族議員は政治力を使って農林水産省に高いコメの価格や農業予算の獲得を行わせます。その結果、JA農協は減反政策により、高い水準のコメの価格を維持することができました。JAの関連団体が、官僚の天下り先になっていることも各所から指摘されいます。
発言
・供給不足より流通の課題を強調しました。「コメを買ったことがない」「コメは売るほどある」など、消費者目線の欠如や現状認識の甘さなどの失言が注目されました。
備蓄米の流通
・JA農協や卸売業者を経由する競争入札により、小売業者へ流通させる方式が中心でした。入札・契約・流通などの過程を通すことにより時間がかかることで、小売店に実際に届くまでに数ヶ月を要するケースも多くあり、「流通の目詰まり」や「在庫滞留」が指摘されました。備蓄米の管理や品質維持には、一定の配慮がなされていましたが、消費者への迅速な供給に課題があったとされています。結果的に、2025年5月時点で江藤大臣が入札した備蓄米が、小売業者や外食業者に届いたのは全体の19.8%、小売店に限ると12.9%にとどまったとされています。
◎小泉米(小泉進次郎現大臣時代の備蓄米)
基本姿勢
・「コメ担当大臣」として改革志向を強調し、流通改革・消費者目線を重視しています。生産量の増加より流通改革に重点を置き、備蓄米の放出が対策の中心です。
発言
・「いろいろなコメを買う」と、消費者目線をアピールする発言が注目を集めています。
備蓄米の流通
・お米の流通改革を重視し、束縛や制限のない「随意契約」による備蓄米の売り渡しをはじめました。大手小売業者や中小米屋に直接販売する方式を採用して、流通の透明化を図りコメの流通スピードを早めたことで、申請から数日でお米が店頭に並ぶケースもあります。小泉大臣はコメの価格高騰や迅速な供給に対応するため、輸入米も視野に入れるなど消費者目線の柔軟な政策を打ち出しています。
・これらの改革により、「小泉米」として5kg2,000円代という安価な備蓄米が販売されるようになりました。前年に収穫されたお米を「古米」と呼び、それよりも古い年順に「古古米」、「古古古米」、「古古古古米」と呼ばれています。新米ではありませんが、備蓄米を保管する倉庫では、低温・湿度を保つ高精度な保管が可能となっているため、普段に食べる分の品質に問題ないと言われています。ただし、古い備蓄米は従来、飼料用として使われていたお米であることから、専門家からは「家畜飼料同然の古古古米」などとの批判の声も発生しています。
3、コメ以外の物価高騰
・2025 年6月の値上げ
帝国データバンクの調査によると、2025年6月に1,932品目の飲食料品が値上げされることがわかりました。これは前年同月の約3倍の品目にあたります。
・主な値上げ品目
主な値上げ品目は以下のようなものが挙げられます。
このうち、原料となるお米の価格高騰が値上げの要因となる品目は100品目以上とされています。
調味料(カレールウ、だし):962品目
加工食品(インスタント麺、パックごはん、海苔など):755品目
乳製品:106品目 他
・年間の累計値上げ状況
2025年1〜6月の期間において、すでに今年の累計で16,224品目が値上げされています。これは前年の12,520品目と比較しても約3割も増えていることとなります。このペースで推移すれば2025年中の累計値上げ品目は、20,000品目を超えると予測されています。
4、まとめ
今回は、「令和のコメ騒動」について解説しました。
コメの価格高騰に、コメの供給不足。我々日本人にとって、当たり前のように毎日食べているお米が手に入りにくくなるという困難に陥っています。小泉進次郎・日本農林水産大臣によって、安価な備蓄米である「古古古米」などが流通しはじめました。2024年8月頃から始まった、「令和のコメ騒動」は、単なる凶作だけが原因なのではありません。従来どおりの需要と供給のバランスが保てなくなってきたことや、JA農協を中心としたコメの流通構造の問題、またSNSでの過度な情報発信による社会心理的な要因などが重なり発生しました。また、それらを超えた日本の農政構造の根深い問題も浮き彫りにもなりました。
政府や農林水産省は、多大なる尽力をかけて日本のコメ不足・コメの価格高騰に対応されています。しかし、皆さんもご存知のように、物価が高騰しているのはお米だけではありません。今年1年間で値上げされる食品は、2年ぶりに2万品目を超える可能性が高いことが判明しました。
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